亭主が客人をもてなす際、亭主はその一度きりの時間が客人にとって最高の時間となるよう、表裏の無い心で、察し、思いやる気持ちを持って最大限の配慮でもてなします。その日の気候や体調などに合わせ、お茶の濃さや温度、提供するタイミングなどを客人が気付かぬ自然の流れの中で調整します。その気配りこそ茶道の持つ美しさでもあると言えます。

この「二重茶碗」はその精神性から導き出された茶碗です。
磁器は陶器と比べ、シャープで軽やかな造形や、薄い飲み口が実現できる一方、熱が伝わり易く茶碗を持った際、手に過度な温度を伝えてしまう欠点があります。この二重茶碗は手に触れる箇所を二重構造にすることで、空気層が緩衝材となり手に柔らかい温度を伝えてくれます。

磁器の持つ美しさをストレスなく手の中で感じていただけるよう考え出された茶碗です。