KENPOKU ART 2016

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2016.11.22

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KENPOKU ART 2016が先日20日にて無事終了いたしました。
1日では回り切れない程広大な範囲に渡っての開催、
参加アーティストも幅広く、見ごたえのある芸術祭でした。
seccaもお声掛けいただき、漆の原料の産地でもある大子町にて展示をさせていただきました。
ご来場いただきましたみなさま、運営してくださったみなさま、誠にありがとうございました。
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今回展示させていただいた作品のタイトルは「japan?」


漆は英語で「japan」と言われるように日本を代表する工芸素材でありながら、一方でその価値がわかり難い素材でもあります。

現在(実はかなり以前から)国内で出回っている漆の95%以上は中国産が使われており、漆器の産地でさえ国内産の漆を使っているところは限られています。
また、国産漆を使いたくても漆を作るのに従事されている方が少ない事から出回る量が極端に少なく、手に入っても高価であるため使いたくても手に入れられないのが現状です。
漆の樹液を採取するために使用する道具を作れる職人さんも現在お一人しかいないと伺いました。

古くから雑器にも多く使われ日本人が慣れ親しんできた素材なのにとても距離があることに対して違和感を感じました。
私たちも漆を素材として扱う立場として、その疑問を多角的に見つめていきたいと考えています。

そして今回、芸術祭という機会を借り、漆の価値は一体なんなのか、みなさまも交えて今後考えていく「キッカケ」を造形しました。
この立体は同じ形をしたパーツを3つ組み合わた三つ巴のような形態をしています。
そのパーツの一つは「日本産の漆」、一つは「中国産の漆」、最後の一つに「漆に似せたウレタン塗料」を塗布してあります。
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作ってみて、視覚的な情報だけでは価値が分からない(見分けられない)ことが判りました。
しかし、漆は成分の中に含まれるウルシオールという酵素の働きによって空気等と反応をして硬化したら、強酸にも負けない耐久性や高い安全性があったり、小さな孔が程良く水分を保有していることから手触りや口当たりが優しい、メンテナンスすれば繰り返し使うことができるといった素晴らしい特徴があります。

そもそも視覚的な情報だけで価値を判断する事はナンセンスで、もっと踏み込んで紐解いていく必要があると感じています。
また、国産漆に拘ることの真価はどこにあるのか等、漆をめぐる疑問を今後も作品を通して研究していきたいと考えています。

今回の作品はこういった事を考えていく上で、あくまでキッカケにしか過ぎません。
少なくとも工芸素材を扱う立場の作り手が漆に限らず、作品を作る前後にある問題や課題を見つめていく必要があると感じ、問題提議の意も含めた作品を制作させていただきました。
モノで溢れた現在、作ることの弊害も色々と明らかになってきた現在だからこそ、モノの前後に潜む価値を判断することを大切にしていきたいです。
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(撮影:木奥恵三氏)